民法改正(配偶者居住権)

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「配偶者居住権」についての解説です。

  平成30年7月に、民法の家族法分野で法改正がありました。

 その中で、新たに「配偶者居住権」が創設されました。改正法の大部分は既に施行されていますが、この部分のみ施行は令和2年4月となっています。(これと関連して「配偶者短期居住権」も創設されましたが、その点は省略します。)

 従前は、この「配偶者居住権」に代わり、平成8年に出された判例(最高裁平成8年12月17日・民集50巻10号2779頁)によって配偶者居住権に類似する権利が相続人に認められていました。ただし、使用貸借という形で、その存続期間も相続から遺産分割終了時までだったので、権利としては弱いものでした。その後、内縁の妻についても同様の判断がされています(最高裁平成10年2月26日・民集52巻1号255頁)。

 対して、「配偶者居住権」とは、被相続人の配偶者が、被相続人所有の建物に居住していた場合に、そのまま無償で住み続けられる権利のことです。存続期間は配偶者が亡くなるまでで、性質は債権であり、登記をすれば第三者にも主張できる点で従前よりも強力な権利となっています。

  それゆえに成立要件も厳格で、①被相続人の配偶者であること②被相続人の財産に属した建物に相続開始時に居住していたこと③②の建物が配偶者以外と共有にないことを前提にしたうえで④遺産分割、遺贈、審判のいずれかよることが求められます(民法1028条以下)。

 では、この配偶者居住権を行使するケースを考えてみましょう。例えば、夫婦のうち夫が死亡し、相続人が夫と同居していた妻が1人、独立している子どもが1人の場合には、法定相続分は1:1となりますから、遺産が例えば預金1000万円、不動産1000万円の場合、従来の相続制度にしたがうと、妻が同居していた家にそのまま住み続けたいがために不動産全部を相続すると、預金はまったく相続できないこととなります。

  他方で、配偶者居住権を考慮すると、被相続人と同居していた不動産(土地・建物)が配偶者居住権と、配偶者居住権付きの不動産の所有権に分けられて相続の対象とされますから、上記のケースでは、例えば相続人配偶者が配偶者居住権と預金を、子が配偶者居住権付き不動産の所有権と残りの預金を相続する、といった処理が可能となります。

 なお、問題点としては、配偶者居住権は法律婚の夫婦を対象としていますから、事実婚には対応していない点が挙げられます。事実婚については、引き続き平成8年や平成10年の判例法理などで保護されていくものと考えられます。

  ただし、以上の配偶者居住権が活用される場面は、そう多くはないと考えられます。といいますのも、遺言があるケースや、良好な関係の相続人同士での遺産分割協議なら、配偶者居住権を行使する必要もなく、円満で柔軟な遺産分割が行われると考えられるからです。 他方で、例えば、不動産が唯一の相続財産で、複数の相続人がおり、その関係が良好とはいえないようなケースでは、配偶者居住権を活用することで配偶者相続人の生活が保障されることもあると考えられます。

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