離婚訴訟における注意点(慰謝料請求)

飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による離婚訴訟における慰謝料請求の注意点の解説です。

1 慰謝料請求の管轄

離婚訴訟の際に、慰謝料の請求をしたいとの御要望を受けることがあります。この「慰謝料請求」の訴訟物は「不法行為に基づく損害賠償請求権」ですので、本来的には、離婚訴訟を管轄する家庭裁判所ではなく、(請求額にもよりますが、通常は)地方裁判所の管轄ということになります。とすると、離婚訴訟と一緒に家庭裁判所で審理を受けることができないかと思われますが、実際には、よく同時に訴訟提起されています。

といいますのも、人事訴訟法上、離婚請求の原因である事実によって生じた損害賠償請求は、離婚の訴えと併せて家庭裁判所に提起することができるとされているからです(人事訴訟法17条1項)。

したがいまして、原告側は、たとえば不貞行為に基づく慰謝料請求については、地裁に提起するか(離婚訴訟と併せて)家裁に提起するかを選択できることになります。

ちなみに、地裁に訴訟提起した後、離婚訴訟の係属する家裁に移送することも可能です(人事訴訟法8条1項)。

2 訴訟提起の際の注意

(1)遅延損害金の起算日

不法行為が特定できるようであれば不法行為日からとなりますし、そうでない場合は、訴状送達の日の翌日からとなります。判決確定日からとすると、請求側にとって不利になりますが、そのような訴状も散見されます。

(2)弁護士費用

不法行為に基づく損害賠償請求の場合、弁護士費用として請求額の10%を加算して請求できます。認容される際も弁護士費用を控除した認容額の10%を加算することになります。ですから、不法行為に基づく損害賠償請求としての慰謝料請求であれば、忘れずに弁護士費用を請求することになります。ただし、こちらも請求していない訴状が散見されます。途中で気が付くと請求の拡張をする必要がありますが、これだと忘れていたことが明らかでばつが悪い感じがあります(請求しないよりはマシですが)。

(3)時効

損害及び加害者を知ったときから3年、または、不法行為から20年で時効消滅するのが原則です。

ただし、民法159条により、夫婦間の請求権は離婚後6か月経過までは消滅しません。

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