財産開示手続

 今回は、飯塚市の弁護士が「財産開示手続」について説明します。

 金銭債権に関する紛争を解決する際、問題となることの1つとして、債権の回収の問題があります。

 裁判で勝訴判決を得たとしても、判決は一定の権利法律関係の存在について判断したものなので、債務者が任意の履行を行わない場合、判決内容通りの権利利益を実現するためには、別途、強制執行の手続を行う必要があります。

 しかし、強制執行を行うためには、債務者の財産として、どこに、何があるかわかっていなければなりません。

 そのため、債務者の財産が分からない場合には、せっかく時間と労力をかけて判決を得ても、何も回収できないこともあります。

 そこで、債務者の財産を知る手続として、「財産開示手続」(民事執行法196条以下)の手続きがあります。

【財産開示手続とは】

 財産開示手続とは、債権者の申立てにより、債務者(開示義務者)を財産開示期日に裁判所に出頭させ、債務者の財産状況を陳述させる手続となります。

 なお、財産開示手続は、債務者の財産状況を知る手続のなで、債権者は、陳述によって知った債務者の財産に対し、別途強制執行の申立てをする必要があります。

 また、債務者が出頭しなかったり、嘘の陳述を行ったりした場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます(民事執行法213条1項5号、6号)。

【財産開示手続の改正について】

 財産開示手続に関する法律は、改正され2020年4月1日から新たな法律で施行されています。

 まず、債務者が出頭に従わなかった場合のペナルティーとしては、改正前は30万円以下の過料でしたが、改正後では、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金と罰則が強化されています。

 また、改正前は、財産開示手続の対象は判決や調停調書等に限られていましたが、改正後は、上記に加え、仮執行の宣言を付した支払督促、仮執行の宣言を付した損害賠償命令、金銭等の支払いを目的とする内容の公正証書等も財産開示手続の対象になりました。

 そのため、改正前に比べて、改正後の財産開示手続は、実効性のある手続きとなっています。

【財産開示手続の要件】

 まず、申立人は、「執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者」でなければなりません(民事執行法197条1項柱書)。

 また、次のいずれかに該当する必要があります。

①「強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。」(民事執行法197条1項1号)

②「知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。」(民事執行法197条1項2号)

 なお、財産開示手続において、債務者が財産開示をした場合、原則として、財産開示手続を申立てた日から3年以内は財産開示手続が行えません(民事執行法197条3項柱書本文)。

 このように、権利利益の実現については、諸手続きにより、実効性の確保が図られていますので、強制執行による債権回収が行い易くなったと考えられます。

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