持続化給付金の差し押さえ

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「持続化給付金の差し押さえ」についての解説です。

 持続化給付金とは、新型コロナウイルスの影響で収入が前年比で半減した月がある場合に、事業継続のため、最大で中小企業の場合は200万円、個人事業主の場合100万円の給付が受けられるという制度です。

 そして、この持続化給付金を差し押さえられた債務者が、差押命令の一部取消を申し立てるという事案が発生しました。これに対して、令和2年11月19日、神戸地裁伊丹支部は、持続化給付金を差し押さえ禁止とする法律の規定はないとしつつも、給付金の目的は新型コロナで影響を受けた個人事業者らの事業継続を支え、再起の糧とすることだとし、債務者側の主張を認めました。

 この点、裁判所は「申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して」差押命令を取り消すことができますから(民事執行法153条1項)、持続化給付金の趣旨などを考慮してこのような判断を行ったものだと考えられます。

 このように、裁判所が、差押えを禁止する法律の規定がないにもかかわらず、制度の趣旨などから差押えが禁止されているとの判断することは、極めて稀なようです。

 ちなみに、日本国内に居住する人に一律10万円が給付された特別定額給付金については、令和2年4月30日に「令和二年度特別定額給付金等に係る差押禁止等に関する法律」が成立し、施行されていますから、差押えが禁止されています。

一方で、今回、問題となった持続化給付金については、6月に第201回国会の衆議院第20号で提出されたものの、法案の成立には至らずに、次回以降に継続審議になっているという事情がありました。

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