相続と生命保険の保険金

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「相続と生命保険の保険金」の解説です。

 相続における生命保険の保険金の取り扱いに関して、大きく分けて以下3つの場合が問題となることが考えられます。

  • 生命保険金の受取人が契約者(被相続人)である場合
  • 生命保険金の受取人が相続人のいずれかである場合
  • 生命保険金の受取人が契約者以外の者で、既に死亡していた場合

【相続における生命保険の保険金の取り扱い】

 最高裁判所平成14年11月5日判決(判例タイムズ1108号300頁)は、死亡保険金請求権は、指定された保険金受取人が自己の固有の権利として取得するのであって,保険契約者又は被保険者から承継取得するものではないとの理由で、生命保険金(死亡保険金)請求権は相続財産を構成しないものと判示しています。

 そのため、原則として、生命保険金(死亡保険金)請求権は、相続の対象となる財産ではなく、受取人の固有の財産となります。

【①の場合】

 生命保険金の受取人が契約者(被相続人)である場合、生命保険金の請求権は、相続財産となるため、契約者(被相続人)の相続人がその請求権を相続します。

【②の場合】

 生命保険金の受取人が相続人のいずれかである場合、先ほどのご説明のとおり、生命保険金の請求権は、受取人の固有の権利となります。

【③の場合】

 生命保険金の受取人が契約者以外の者で、既に死亡していた場合、保険法46条により、受取人の全相続人が保険金受取人となります。

 この点、実務において、相続人の全員が保険金受取人となることは、相続に基づく効果ではなく、指定保険金受取人の死亡により自動的にその相続人全員を新たな保険金受取人とする保険金受取人変更が行われたものであると、考えられています。

保険法第46条 

『保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。』

 しかし、保険法46条は、受取人を指定したものであり、同条はその割合については規定していません。

 この点、保険金受取人の権利の割合については、民法427条の規定を適用により平等の割合になるものと解すべきであるとした裁判例があります(最高裁判所平成4年3月13日判決・判例タイムズ784号170頁)。

民法427条

『数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。』

 なお、保険金受取人の権利の割合については、個々の保険契約で定められている場合がありますので、一度、契約の内容を確認する必要があります。

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