葬儀費用の負担者

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「葬儀費用の負担者」についての解説です。

 人はいつか亡くなります。家族が亡くなったときには、葬儀が行われることが一般的であると思われます。

 葬儀費用は、厳密にいえば相続開始後の費用である上、金額も数十万円以上かかることもあり、遺産分割の際、その費用について、誰が負担するのか問題となることがあります。

 葬儀費用の負担者については、以下の通り。裁判例も分かれており、明確に定まっていません。

1 喪主(葬儀主宰者)負担説

 葬儀費用は、実質的に葬式を主宰した喪主(葬儀主宰者)が負担すべきであるとする考えです。

 東京地方裁判所昭和61年1月28日判決・家庭裁判月報39巻8号48頁などの裁判例は、この考えに基づいていると考えられます。

2 相続人負担説

 葬儀費用を相続債務と同じようなものと同列に考え、法律上当然に相続人らがその法定相続分に応じて分割承継すべきものとし、特段の事情がない場合には、葬儀費用は共同相続人の負担になるとする考えです。なお、この考えにおいても、相当と認められる額以上の支出などの特段の事情がある場合には、喪主が負担すると考えられています。

 東京高等裁判所昭和30年9月5日決定・家庭裁判月報7巻11号57頁などの裁判例は、この考えに基づいていると考えられています。

3 相続財産負担説

 葬儀費用は相続財産の負担とする考えです。そのため、相続財産から葬儀費用を支弁することも許されることになります。

 高松高等裁判所昭和38年3月15日決定・家庭裁判月報15巻6号54頁などの裁判例は、この考えに基づいていると考えられます。

4 慣習・条理説

 葬儀費用の負担者はその地域の慣習または条理によって定まるとする考えです。

 東京地方裁判所昭和61年1月28日判決・家庭裁判月報39巻8号48頁などの裁判例は、この考えに基づいていると考えられています。

参照書籍:『補訂 実務 相続関係訴訟 遺産分割の前提問題等に係る民事訴訟実務マニュアル』

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